血液を少し採るだけで全身のがんのリスクがわかると聞くと、健康診断やがん検診の代わりになるのではないかと考える方が多くいらっしゃいます。実際にはそうした位置づけの検査ではありません。
CTC検査は、がんがあるかないかを確定させる検査ではなく、リスクの手がかりを得るための検査です。この記事では、何がわかって何がわからないのか、結果をどう次の行動につなげるのかを、順を追って整理していきます。
CTC検査とは何か

CTC検査とは、血液中を流れているがん細胞(CTC、末梢血循環腫瘍細胞)の有無と数を、採血によって調べる検査です。がんのかたまりから離れて血管に入り込んだ細胞を直接とらえようとする点に特徴があります。
がんは大きくなる過程で、自分に向かう血管を新しく引き込みます。新しくできた血管の壁は正常なものほど整っておらず、一部のがん細胞が血液中へ漏れ出してしまうのです。漏れ出した細胞のごく一部が別の臓器にたどり着き、転移の起点になると考えられています。
この、血液中を流れている状態のがん細胞がCTCです。血液を採って調べる方法はリキッドバイオプシーと総称され、体を切らずに情報を得られる手段として研究が続いています。
CTCの臨床的な意味が報告されたのは2004年でした。転移のある乳がんの患者を対象とした研究において、治療開始前のCTCの数が予後と関連することが示されています。
以来、予後の予測や治療効果のモニタリングへの応用が期待されてきました。
CTC検査でわかることとわからないこと

先に結論をお伝えします。CTC検査でわかるのは血液中のCTCの有無と数であり、がんがどこにあるのか、そしてがんが本当にあるのかどうかは、この検査だけでは判断できません。
わかるのは、採血した時点で血液中にがん細胞が流れているかどうかと、その数です。1cm以下の微小ながんの段階でも検出が期待できるとされており、画像検査ではとらえにくい時期の手がかりになる可能性があります。数の変化を追うことで、治療がどれくらい効いているかを見る使い方もできます。
一方で、原発巣、つまりがんが最初にできた場所を特定することはできません。検出されたとしても、それが肺なのか大腸なのかを結果から読み取ることは不可能です。場所を知るには画像検査が必要になります。
対象にならないがんもあります。脳のがんと血液のがん(白血病)は、この検査の対象外です。脳のがんは細胞が血液中に出てきにくく、血液のがんはもともと血液の細胞から生じるため、CTCという考え方が当てはまりません。
そして最も大切な点として、CTC検査はがんの確定診断のための検査ではありません。がんかどうかを確定させるには、画像検査で病変を見つけ、組織や細胞を採って顕微鏡で調べる病理診断が必要になります。
精度と信憑性をどう受け止めるか
「CTC検査は意味がない」「信憑性はあるのか」という言葉が検索されるのには、いくつかの理由があります。過度に期待も不安もせずに済むよう、背景を整理しておきましょう。
検査会社ごとに手法も公表値もそろっていない
1つ目の理由は、比べる土台がそろっていない点にあります。CTCを取り出す方法は細胞の大きさを利用するものや表面の目印を利用するものなど複数あり、会社ごとに手法が異なります。
公表されている数値も、測り方や対象とした集団が同じではないため、単純に横並びで比較することはできません。数字の大小だけで優劣を判断できる状況にはなっていないのが実情です。
そもそもCTCは、大量の血球成分の中にごくわずかしか存在せず、検出頻度の低さが研究上の課題であり続けてきたと報告されています。少ない細胞を探す検査だという前提を持っておくと、結果の受け止め方が変わります。
陰性はがんがないことの証明にはならない
2つ目の理由は、陰性の解釈にあります。CTCが検出されなかったという結果は、採血した時点で血液中にがん細胞が見つからなかったという意味です。
がんがあっても細胞が血液中に出ていない時期はありますし、出ていても採取した血液に含まれないこともあり得ます。陰性を「がんではないと証明された」と読み替えてしまうと、症状があるのに受診を先延ばしにするという逆の結果を招きかねません。
結果には個人差があり、陰性でも症状があれば医療機関を受診していただく必要があります。この検査は、公的ながん検診や医療機関での精密検査を置き換えるものではありません。
がん検診や腫瘍マーカーとの違い

CTC検査と、市区町村のがん検診と、腫瘍マーカー検査は、目的も測っているものも別のものです。役割が違うため、どれか1つで他を代替することはできません。
国は、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんの5つについて、死亡率を下げる効果が科学的に確認された方法をがん検診として推奨しています。市区町村が行うこうした検診は対策型検診と呼ばれ、集団全体の死亡率を減らすことを目的としています。
一方、人間ドックやクリニックで個人が任意に受ける検査は任意型検診に分類され、この中にはがん検診としての有効性が確立していない方法も含まれます。CTC検査はこちらに位置づけられる検査であり、公的な検診の代わりにはなりません。
腫瘍マーカー検査との違いは、測っている対象にあります。腫瘍マーカーが調べるのはがん細胞が作り出す物質の血中濃度で、CTC検査が調べるのは細胞そのものの有無と数です。がん以外の炎症などで腫瘍マーカーの値が動くことがあるのは、物質を測っているからにほかなりません。
検査を検討したい方
CTC検査が向いているのは、公的ながん検診を受けたうえで、さらに全身の手がかりを持っておきたいと考える方です。次のような状況の方からご相談をいただいています。
- 血縁者にがんを経験した方がいて、リスクを把握しておきたい方
- がんの治療中で、治療の効きぐあいを別の角度からも確認したい方
- 治療を終えて、再発や転移の兆候を早めにつかんでおきたい方
- 健康診断では異常がないものの、全身を一度調べておきたい方
当院では、光免疫療法を受けられている方の治療効果を確認する目的でも、この検査を継続して行っています。治療が終わった後も定期的な検査とCTC検査によるモニタリングを続け、生活面のサポートとあわせた長期的なケアにつなげているところです。
がんリスクCTC検査の詳細はこちら検査の流れと結果の受け取り方
当院の検査は、採血のみで完了します。当日の絶食は必要なく、食事を済ませてからお越しいただいてかまいません。ご本人確認のため、免許証、保険証、マイナンバーカードなどのご持参をお願いしています。
採血だけで行うため、体への負担はごく小さいものです。当日に結果が出る検査ではなく、採血からおよそ1週間から2週間で、結果をご自宅へお送りしています。
受ける間隔については、半年から1年に1回をおすすめしています。CTCは常に同じ数が流れているわけではないため、1回の結果を絶対視せず、時間をおいて変化を見ていく考え方が現実的です。
結果が出た後の進め方

結果が出た後にどう動くかを、あらかじめ決めておくことをおすすめします。この検査は受けて終わりではなく、次の行動につなげてはじめて意味を持つものです。
CTCが6個以上検出された場合は、臨床症状を観察したうえで、従来の画像検査やバイオマーカー検査などを組み合わせ、がんの有無と原発巣を特定していくことが推奨されています。当院でも検出された数だけでは判断せず、この手順に沿って次の検査をご提案する方針です。
検出されなかった場合は、公的ながん検診を予定どおり受けていただきながら、半年から1年後に改めて調べるという進め方になります。症状が出たときは、次の検査を待たずに受診していただくようお伝えしています。
当院の院長の見解
当院の院長は、大学病院で子どものがん治療を専門としてきた医師です。検査の数字だけを見て一喜一憂するより、症状や生活の変化とあわせて読むほうが結果を活かせるという考えです。
そのため当院では、結果をお送りした後のご相談も承っています。診療記録や検査データのコピーもお渡しできますので、別の医療機関で相談される際にもお使いいただけます。
検査についてのご相談はこちらから費用と受け方
当院は自由診療のみを行っており、保険診療は受けられません。CTC検査は公的医療保険の対象外であり、費用は全額自己負担となります。
当院のがんリスクCTC検査は、お一人7万7千円(税込、初診料を含む)です。がんカウンセリングは60分2万2千円(税込、初診料を含む)で、各種クレジットカード決済にも対応しています。
確定診断を受ける前の段階でもご相談は可能です。紹介状は不要で、ご家族の同行やご家族による代理でのご相談も承っております。
料金表はこちらよくある質問
CTC検査について、当院に多く寄せられるご質問をまとめました。
CTC検査でがんは確定できますか
確定はできません。CTC検査でわかるのは血液中のCTCの有無と数であり、がんかどうかを確定させるには画像検査と病理診断が必要になります。リスクを知るための検査だとお考えください。
CTC検査は保険適用されますか
保険は適用されません。自由診療となるため費用は全額自己負担で、当院では7万7千円(税込、初診料を含む)となっています。
CTC検査で原発巣はわかりますか
わかりません。がんが最初にできた場所を結果から読み取ることはできず、場所を調べるには画像検査を組み合わせる必要があります。
CTC検査が陰性ならがんはないということですか
そうとは言えません。陰性は、採血した時点で血液中にがん細胞が見つからなかったという意味にとどまります。症状があるときは、結果にかかわらず医療機関を受診してください。
CTC検査はどのくらいの頻度で受けたらいいですか
当院では半年から1年に1回をおすすめしています。1回の結果だけで判断せず、間隔をあけて変化を追っていく使い方が向いています。
白血病や脳腫瘍も調べられますか
いずれも対象外です。血液のがんは血液の細胞そのものから生じるためCTCという考え方が当てはまらず、脳のがんは細胞が血液中に出てきにくいという事情があります。
会社の健康診断やがん検診の代わりになりますか
代わりにはなりません。国が推奨する5つのがん検診は、死亡率を下げる効果が確認された方法として実施されています。CTC検査はそれらと併用する位置づけの検査です。
東京がん検査・治療ラボラトリーへのご相談
当院は渋谷駅から徒歩約5分の場所にあり、年中無休で診療しております。検査を受けるかどうかを決める前の段階から、医学博士である院長が直接お話を伺います。
受けることを急いでいただく必要はありません。何がわかり、何がわからないのかをご理解いただいたうえで、ご判断いただければと考えています。
東京がん検査・治療ラボラトリーのWEB予約はこちらから参考文献
- 国立がん研究センター がん情報サービス「がん検診」 https://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/index.html
- 国立がん研究センター がん情報サービス(医療関係者向け)「がん検診について」対策型検診と任意型検診 https://ganjoho.jp/med_pro/cancer_control/screening/screening.html
- Cristofanilli M, Budd GT, Ellis MJ, et al. Circulating Tumor Cells, Disease Progression, and Survival in Metastatic Breast Cancer. New England Journal of Medicine. 2004;351(8):781-791. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15317891/
- 山田秀直, 山内豊彦, 上田之雄, 山下豊「血中循環腫瘍細胞検出のためのトモグラフィック位相イメージングフローサイトメトリー」Medical Imaging Technology. 2016;34(2):95-102. https://www.jstage.jst.go.jp/article/mit/34/2/34_95/_article/-char/ja
- 厚生労働省「医療広告ガイドラインに関するQ&A」 https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000644622.pdf



















