がんの基礎知識

知らないうちに進行する肝臓がん―症状と特徴をわかりやすく解説

 肝臓とは

肝臓(かんぞう)は、右上腹部にある臓器で、体の中でも最大の臓器です。栄養の代謝、毒素の分解、胆汁の生成、エネルギーの貯蔵など、生命維持に欠かせないさまざまな働きをしています。肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、ある程度まで病変が進行しても症状が出にくいのが特徴です。

肝臓がんとは

肝臓がんには、肝臓の細胞自体ががん化する「原発性肝がん」と、他の臓器から転移してきた「転移性肝がん」があります。ここでいう肝臓がんとは、原発性肝がん(特に肝細胞がん)を指します。
日本では年間約2万人が新たに診断され、主に中高年の男性に多くみられます。B型・C型肝炎ウイルス感染や肝硬変を背景に発症することが多いですが、近年は脂肪肝炎(NASH)に関連する例も増えています。

主な原因・リスク

主な原因はB型肝炎ウイルス(HBV)およびC型肝炎ウイルス(HCV)の慢性感染です。これらのウイルスにより慢性炎症が続くと、肝細胞が傷つき再生を繰り返すうちにがんが発生します。
そのほか、長期の飲酒によるアルコール性肝障害、糖尿病、肥満、脂肪肝炎(NASH)などもリスク要因とされています。家族に肝がんの既往がある場合も注意が必要です。

主な症状

早期の肝臓がんはほとんど症状がありません。進行すると、右上腹部の痛みや張り、倦怠感、体重減少、食欲不振、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)などが現れます。
また、腹水がたまることや、肝機能の低下によるむくみ、出血傾向が出る場合もあります。これらの症状が出る頃には病気が進行していることが多いため、定期的な検査が非常に大切です。

診断方法

まず、血液検査で肝機能(AST、ALTなど)や腫瘍マーカー(AFP、PIVKA-IIなど)を調べます。画像検査としては、超音波検査、CT、MRI、造影超音波検査などを行い、腫瘍の存在や性状、数、広がりを評価します。
確定診断のために肝生検を行うこともありますが、画像所見と腫瘍マーカーの組み合わせで診断できることも多いです。

治療判断に使われる分類と治療方針

肝臓がんの治療を決める際には、TNM分類を使います。
Tは腫瘍の大きさや数、血管への浸潤の有無、Nはリンパ節転移、Mは遠隔転移を表します。この組み合わせでステージI〜IVに分けられます。
さらに、肝機能の状態(Child-Pugh分類)や腫瘍の位置・数も治療選択の重要な指標となります。

ステージIは、がんが単発で小さく、血管やリンパ節に広がっていない段階です。この場合は、外科的切除が最も効果的です。肝機能が良好で切除が可能な場合は手術を行い、難しい場合はラジオ波焼灼療法(RFA)などの局所治療が選ばれます。

ステージIIは、がんが複数存在するか、血管への軽度の浸潤がある段階です。肝機能が保たれていれば切除やRFAが行われますが、手術が難しい場合には肝動脈化学塞栓療法(TACE)が用いられます。TACEは腫瘍に栄養を送る血管を塞ぎ、抗がん剤を直接届ける治療法です。

ステージIIIは、がんが主要な血管(門脈や肝静脈)に浸潤している、または大きな腫瘍が複数ある段階です。この場合、TACEや全身化学療法(分子標的薬:レンバチニブ、ソラフェニブなど)が中心になります。最近では免疫チェックポイント阻害薬(アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用など)が注目されています。

ステージIVは、がんが肝臓の外(肺・骨など)に転移している段階です。この場合は根治は難しく、薬物療法が中心です。免疫療法や分子標的薬を組み合わせてがんの進行を抑え、症状を軽くしながら生活の質を保つことを目指します。

予防・早期発見

B型・C型肝炎ウイルスの感染予防と治療が最も重要です。ワクチン接種(B型)や抗ウイルス療法によって発症を防ぐことができます。

また、脂肪肝や飲酒のコントロール、バランスの取れた食事、定期的な運動も有効です。肝炎や肝硬変を持つ方は、半年ごとの超音波検査と腫瘍マーカー測定を継続的に受けることが早期発見につながります。

参考文献

監修者情報

田本院長

院長

田本 直弘

2006年
鳥取大学医学部医学科卒業
2008年
卒後臨床研修を経て、鳥取大学小児科へ入局
子どものがん治療を専門に大学病院にて勤務
2012年
医療法人田本会設立
2020年
論文『Subclinical Epstein-Barr virus primary infection and lytic reactivation induce thyrotropin receptor autoantibodies』が国際誌にアクセプトされ、医学博士号取得
2024年
東京がん検査・治療ラボラトリー開設

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