脳とは
脳は、思考・感情・運動・感覚などを司る中枢神経系の中心であり、大脳・小脳・脳幹の3つの部分に分かれています。体全体のバランスを保ち、臓器や筋肉の働きをコントロールする極めて重要な臓器です。
脳腫瘍とは
脳腫瘍(のうしゅよう)は、脳やその周囲の組織に発生する腫瘍の総称です。日本では年間約2万人が新たに診断されています。
発生場所や性質によって多くの種類があり、大きく分けると以下の2つです。
– 原発性脳腫瘍:脳そのものに発生する腫瘍(例:神経膠腫[グリオーマ]、髄膜腫、下垂体腺腫など)
– 転移性脳腫瘍:他の臓器(肺・乳腺・大腸など)のがんが脳に転移したもの
原発性脳腫瘍の中では、神経膠腫(グリオーマ)が最も多く、悪性度の高い「膠芽腫(グリオブラストーマ)」は代表的な悪性脳腫瘍です。
主な原因・リスク
明確な原因は不明ですが、遺伝的要因や放射線被曝、免疫異常などが関係するとされています。まれに、神経線維腫症(レックリングハウゼン病など)などの遺伝性疾患が背景にある場合もあります。
主な症状

脳腫瘍の症状は、腫瘍の「位置」と「大きさ」によって異なります。代表的な症状は以下の通りです。
– 頭痛(特に朝方に強い)
– 吐き気・嘔吐(頭蓋内圧上昇による)
– 手足のしびれ、麻痺、けいれん発作
– 言葉が出にくい、性格の変化、集中力低下
– 視力・聴力の障害、ふらつき、歩行の不安定
進行すると、意識障害や記憶障害なども見られます。
初期の腎がんはほとんど症状がなく、検診や画像検査で偶然見つかることが増えています。
進行すると、血尿(痛みのない血尿)、腰や背中の痛み、腹部のしこり、体重減少、発熱、倦怠感などが見られます。
これらの症状が出るころには進行していることが多いため、早期発見が重要です。
診断方法
まずはMRIやCTで脳の構造を画像的に評価します。腫瘍が疑われた場合は、造影MRIでより詳細に確認し、必要に応じて脳生検(組織検査)を行い、腫瘍の種類と悪性度を診断します。
PET検査で転移の有無を調べることもあります。血液検査では腫瘍マーカーは有用ではないため、画像診断と病理診断が中心となります。
治療判断に使われる分類と治療方針
脳腫瘍の治療を決める際には、WHO(世界保健機関)の分類に基づいて「悪性度(グレードI〜IV)」が用いられます。
一般的ながんのようなTNM分類は用いず、腫瘍の種類とグレードで治療方針を決定します。
グレードI(良性腫瘍)は、比較的ゆっくり成長するタイプで、髄膜腫や下垂体腺腫などが含まれます。手術で完全に摘出できれば治癒が期待できます。
グレードII(低悪性度腫瘍)は、成長は緩やかですが再発することがあり、手術でできるだけ取り除いた後、放射線治療や経過観察を行います。
グレードIII(中等度悪性腫瘍)は、細胞分裂が活発で再発しやすく、手術後に放射線治療と抗がん剤(テモゾロミドなど)を併用します。
グレードIV(高悪性度腫瘍)は、膠芽腫(グリオブラストーマ)に代表される進行性の悪性腫瘍です。手術・放射線・化学療法を組み合わせて治療します。治療後も再発が多く、分子標的薬(ベバシズマブなど)や臨床試験が検討されることもあります。
予防・早期発見

脳腫瘍を完全に予防する方法はありませんが、早期発見のためには、原因不明の頭痛や視覚障害、けいれん、言語障害などの症状が続く場合には、早めに脳神経外科を受診することが大切です。
MRI検査によって、早期発見・早期治療につなげることができます。
参考文献
- 日本脳腫瘍学会『脳腫瘍診療ガイドライン 2023年版』
- 国立がん研究センター がん情報サービス: https://ganjoho.jp
- NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines®): Central Nervous System Cancers, Version 2024
- American Cancer Society: Brain and Spinal Cord Tumor Guide 2023



















