子宮体部とは
子宮体部(しきゅうたいぶ)は、子宮の上部にあたる部分で、妊娠時には胎児を育てる「子宮内膜」を内側に持つ構造です。子宮は「体部」と「頸部」に分かれ、子宮体がんは主にこの内膜の細胞から発生します。ホルモンの影響を強く受ける臓器であり、エストロゲンの過剰な刺激が発がんの一因になることが知られています。
子宮体がんとは
子宮体がんは、子宮の内膜(子宮内膜)にできるがんで、「子宮内膜がん」とも呼ばれます。日本では年間約1万8千人が新たに診断され、増加傾向にあります。主に閉経後の女性に多いですが、最近は若年化も進んでいます。
がんは、ホルモン依存性の「タイプ1(類内膜腺がん)」と、より悪性度が高い「タイプ2(漿液性がん・明細胞がんなど)」に分類されます。
主な原因・リスク
発症には女性ホルモン(エストロゲン)の関与が大きく、長期間エストロゲンにさらされることがリスクとなります。
初潮が早い・閉経が遅い、妊娠・出産経験がない、肥満、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、糖尿病、高血圧などが主な危険因子です。
また、家族性の遺伝(リンチ症候群など)も発症リスクを高めます。
主な症状

最も多い症状は「不正性器出血」です。特に閉経後の出血は注意が必要です。そのほか、月経異常、帯下(おりもの)の増加や異臭、下腹部痛などがみられます。早期の段階でも出血症状が出やすいがんであるため、早期発見のチャンスがあります。
診断方法
経腟超音波検査で子宮内膜の厚さを調べ、異常があれば内膜細胞診や内膜組織診で診断します。
MRIやCTでがんの広がりやリンパ節転移、遠隔転移の有無を確認し、病期(ステージ)を決定します。
また、ホルモン受容体(エストロゲン受容体・プロゲステロン受容体)や遺伝子異常の有無を調べることもあります。
治療判断に使われる分類と治療方針
子宮体がんの治療を決める際には、TNM分類と国際婦人科連合(FIGO)の進行期分類を用います。
Tは腫瘍が子宮内膜や筋層にどの程度入り込んでいるか、Nはリンパ節転移の有無、Mは遠隔転移の有無を表します。この組み合わせでステージI〜IVに分けられます。
ステージIは、がんが子宮内にとどまっている段階です。標準治療は手術(子宮全摘術+両側卵巣・卵管切除)で、リンパ節郭清を併用することもあります。病理結果に応じて、術後補助療法(放射線または化学療法)を検討します。
ステージIIは、がんが子宮頸部の間質にまで広がっている段階です。この場合も手術が基本ですが、再発リスクが高い場合は化学療法や放射線治療を追加します。
ステージIIIは、がんが子宮外(卵巣・腟・骨盤リンパ節など)に広がっている段階です。手術と化学療法(カルボプラチン+パクリタキセルなど)の併用が行われます。放射線治療を組み合わせることで、局所再発のリスクを減らします。
ステージIVは、がんが膀胱・直腸などの周囲臓器、または遠隔臓器(肺・肝臓など)に転移している段階です。手術での根治は難しく、全身化学療法が中心です。
近年では、分子標的薬(レンバチニブ)や免疫チェックポイント阻害薬(ペムブロリズマブ)など、新しい治療も登場しています。
予防・早期発見

適正体重を維持すること、ホルモンバランスを整えることが予防につながります。
不正出血があった場合はすぐに婦人科を受診し、経腟超音波検査や子宮内膜細胞診を受けることが重要です。
特に肥満・糖尿病・閉経後の女性は定期的なチェックをおすすめします。
参考文献
- 日本婦人科腫瘍学会『子宮体癌治療ガイドライン 2023年版』
- 国立がん研究センター がん情報サービス: https://ganjoho.jp
- NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines®): Uterine Neoplasms, Version 2024
- American Cancer Society: Endometrial Cancer Guide 2023



















