喉頭とは
喉頭(こうとう)は、首の中央にある呼吸と発声に関わる器官で、いわゆる「のどぼとけ」の部分にあたります。
声をつくる「声帯」を含み、空気の通り道である気管と、飲食物が通る食道を分ける重要な働きをしています。
喉頭がんとは
喉頭がんは、喉頭の内側を覆う粘膜の細胞ががん化して増殖する病気です。
日本では年間およそ5,000人が新たに診断され、男性に多く、特に50歳以上で発症しやすい傾向があります。
発生部位によって「声門がん(声帯部分)」「声門上がん」「声門下がん」に分類され、
中でも声門がんが最も多く、早期に見つかりやすいとされています。
主な原因・リスク
最大の原因は喫煙です。タバコの煙が喉頭の粘膜を長期間刺激することで、がんの発生リスクが高まります。
また、過度の飲酒も大きな要因で、喫煙と飲酒を併用するとリスクはさらに上昇します。
このほか、慢性的なのどの炎症、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染、職業性粉じんなども関係すると考えられています。
主な症状

喉頭がんの症状は、がんができる場所によって少し異なりますが、代表的なものは次の通りです。
– 声のかすれや声が出にくくなる(特に声門がんで多い)
– のどの違和感や痛みが続く
– 飲み込みにくさ(嚥下時の痛み)
– 咳や血の混じった痰
– 首のしこり(リンパ節転移による)
初期の声門がんでは「声のかすれ」が最も早く現れます。
一方、声門上がんや声門下がんは、症状が出にくく、気づいたときには進行していることもあります。
こうした変化が2週間以上続く場合には、早めの受診が大切です。
診断方法
喉頭鏡(内視鏡)で喉頭の内部を観察し、異常な部分があれば組織生検を行って確定診断します。
CTやMRI、PET検査などで腫瘍の広がりやリンパ節転移、遠隔転移の有無を調べます。
これらの結果をもとに、TNM分類を用いて病期(ステージ)を決定します。
治療判断に使われる分類と治療方針
喉頭がんの治療を決める際には、TNM分類を使います。
Tは腫瘍の大きさや周囲への広がり、Nは頸部リンパ節転移の有無、Mは遠隔転移の有無を表します。
この組み合わせでステージI〜IVに分けられます。
ステージIは、がんが喉頭内に限局している早期の段階です。放射線治療または声帯部分切除術が行われます。
多くの場合、放射線治療で声を保ちながら治癒が期待できます。
ステージIIは、腫瘍がやや広がっている段階です。放射線治療や部分喉頭切除術が検討され、
発声機能をできるだけ温存する治療方針がとられます。
ステージIIIは、腫瘍が声帯の動きを制限したり、リンパ節転移を伴う段階です。
この場合は手術(喉頭全摘出術)+放射線治療または化学放射線療法(シスプラチン併用)が行われます。
最近では、声を残すために化学放射線療法を優先する治療も増えています。
ステージIVは、がんが喉頭外へ広がるか、遠隔転移を起こしている段階です。
手術+放射線+化学療法(シスプラチン、5-FU、免疫チェックポイント阻害薬など)による集学的治療が行われます。
根治が難しい場合は、症状を和らげる治療を中心に行い、生活の質を保つことを目指します。
予防・早期発見

最も重要な予防法は禁煙と節酒です。喫煙や過度の飲酒を控えることで、発症リスクを大幅に減らすことができます。
また、声のかすれやのどの違和感が2週間以上続く場合は、耳鼻咽喉科での喉頭内視鏡検査が早期発見の鍵になります。
参考文献
- 日本頭頸部癌学会『頭頸部癌診療ガイドライン 2023年版』
- 国立がん研究センター がん情報サービス: https://ganjoho.jp
- NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines®): Head and Neck Cancers, Version 2024
- American Cancer Society: Laryngeal and Hypopharyngeal Cancer 2023



















